盆栽愛好家の方々に、『盆栽の名産地は?』と尋ねられたら意見は分かれるかもしれません。
ですがスタンダードな意見としては、香川県高松市の『高松盆栽』と答える人が多いのではないでしょうか。
高松盆栽とは
鬼無(きなし)、国分寺(こくぶんじ)地区を中心とした地域でつくられた盆栽作品の総称で、同地区は国内トップシェアを誇る最大の松盆栽の産地であり、中でも『黒松』は古来より人気が高く、太い幹や堂々とした枝ぶりから『盆栽の王』とも呼ばれ、多くの盆栽愛好家から親しまれています。
さらに『錦松』は、国分寺出身の盆栽職人の高い『接ぎ木』技術によって広まった、高松発祥の松として知られています。
威厳ある古木感や樹皮の割れが魅力的な『黒松』と並ぶ高松を代表する『錦松』と、両松とも丈夫な幹と枝を持つ為、幅広い樹形に対応できる盆栽として仕立てる楽しみを存分に味わえる事でしょう。
高松盆栽の歴史
約200年前、鬼無・国分寺地区の盆栽愛好家が周辺に自生していた樹木を鉢に植え替えて販売した事が、高松の盆栽産地としての始まりと言われております。
その後、盆栽の生産技術をいち早く確立し、最盛期には盆栽産業で発展を遂げ日本最大の盆栽産地へと成長しました。
高松盆栽の郷
高松盆栽の郷は、香川県農業協同組合が運営する盆栽の販売、および情報発信の拠点施設です。
2020年4月にオープンされました。盆栽愛好家、家族連れ、観光客など年間約1万人が訪れています。
鬼無、国分寺エリアの約50軒の盆栽園から1万点もの多種多様な盆栽が揃う施設は全国でも類を見ません。
また、常駐する盆栽作家が盆栽の管理をおこなっている為、高品質な盆栽を安定して提供できる事が強みですね。
価格は500円とお手頃な物から50万円の物までバラエティ豊か。
休日には地元の小学生がおこづかいを持って盆栽を買いに来る事もあります。
今回は、松盆栽の中でも国内最大の産地である高松盆栽についてご紹介いたしました。
初心者から玄人まで幅広い層に愛されている高松盆栽ですが、それでも問題はあります。
現在盆栽界では、生産者や愛好家が減少傾向となっています。
このままでは、鬼無、国分寺地区でも10年後には現在の半数まで生産者が減ると言われています。
これを受け、盆栽の知識や技術を学べる研修制度を設けたり、ワークショップを開催して盆栽に触れる機会を増やすという活動などもおこなわれているようです。
そして、「愛好家を増やし、その方たちが生産者になってくれれば」とインストラクターは語ります。
世界に誇るべき文化の盆栽の未来は、この先わかりませんが、活性化するようにまずは興味を持ってもらうところからでも始まってほしいものです。