盆栽の重要な世話のひとつに「根っこのお手入れ」があります。
盆栽は目に見える幹や葉が醍醐味ですが、それらを支える根があってこそ、雄大な樹形を作ることができます。
健全な盆栽を保つために根っこの手入れについても学びましょう。
良い「根張り」を作ろう
盆栽の根の張り巡らされた形のことを「根張り」(ねはり・ねばり)といいます。
(土の表面にはみだして見える根だけを指す場合もある)
根っこは人間でいうところの胃腸のようなもので、根が元気だと、胴体や手足にあたる幹と葉も元気になることでしょう。
それこそ冬時季に葉を落とす盆栽でも、良い根張りが見えていると春頃には立派な樹形になるのだとわかります。
盆栽における幹と枝葉、さらに花も実も、立派で丈夫な根張りがあってこそのものなのです。
根っこを切るとどうなる?
盆栽の根っこは、主に植え替え時期に剪定します。
(盆栽の植え替えは、三年から五年おきの春頃)
盆栽に限らず、樹木の根っこは土の中で全方向にまんべんなく伸びるもの。
幹からまっすぐ真下に伸びる太い根を「直根」(ちょっこん)、そこから伸びる細い根を「走り根」(はしりね)と呼びます。
これらの根っこ全体が鉢の中で伸び続けると、いわゆる「根詰まり」を起こし、水が浸透しにくくなり、盆栽自体の元気がなくなってしまうのです。
剪定では、直根も含む根っこの下部分をハサミでバッサリ切り落とし、また新しい根の伸びる空間を作ってやります。
すると水の浸透力も上がり、さらに新たな根が伸びると同時に幹や枝も新しく伸びてくれることでしょう。
自然界に自生する樹木であれば土の体積に限りがないですから問題ありませんが、盆栽のように鉢植えの限られた空間と土の量で育てる場合、定期的に根を切って生まれ変わらせる必要があるのです。
結束法とは?
根っこの手入れと少し異なりますが、盆栽から別株を作り出す「結束法」というのがあります。
これは幹の根元を針金で縛り、根から幹が栄養を吸い上げるのをせき止める方法。
根から養分が少ないなとわかると、縛った部分より上の幹から根が伸び始めます。
「結束法」を行う利点は、盆栽を増やすだけでなく、根詰まりのひどすぎる盆栽や、元気がなくなっている盆栽を一新させることでもあります。
根の手入れどころじゃなくなった際の最終手段としても覚えておくと良いかもしれません。
盆栽の健康は根っこによって守られる
今回は、盆栽の根っこのお手入れ方法について学びました。
盆栽は樹形に魅力がありますが、実は土の中に張った根によって、幹の太さや強さ、枝の本数までも決まっています。
特に盆栽は限られた空間の中で根を張って成長させるものなので、定期的な根の手入れは欠かせません。
美しく雄大な盆栽を作り出したい方は、ぜひとも根の手入れの基本を押さえておきましょう。