盆栽には様々な木の形表す樹形(じゅけい)があります。
樹形には、自然に自生しているうちにそうなる場合と、芸術性を高めるため意図的に形成する場合もあります。
ここでは盆栽の基本的な樹形を紹介します。
直幹(ちょっかん)
根元から枝がまっすぐ天に向かって伸びている樹形を「直幹(ちょっかん)」と呼びます。
自然界でもよくある樹形で、風が強過ぎず、日当たりの良い理想的な環境において見られます。
直幹の美しさの基準は「こけの具合」「枝配り」「根張り」の良さが求められ、上に向かうにつれて幹が細くなる形を良いとし、また枝の間隔が徐々に狭くなり、向きも四方八方に伸びるのが良いとされます。
模様木(もようぎ)
「模様木」は盆栽においてよく見かける代表的な形です。
一般的には枝分かれの際に向きを反転させ、S字型に整えます。
内側の枝は剪定し、根元から垂直線上に向かっているように見せるのが美しいとされます。
斜幹(しゃかん)
盆雑木林や滝の周辺、川や道沿いで光を求め斜めに向かって伸びている形ことを「斜幹(しゃかん)」と呼びます。
自然界においては日陰の環境で伸びる樹木が日を求めて自ら曲がり、盆栽においては意図的に形成させるか自然と同じ環境を作って斜めに伸びさせます。
バランスも考慮して、角度は60度くらいが美しいとされています。
懸崖(けんがい)
鉢底より下へ向かって曲がる樹形を「懸崖(けんがい)」と呼び、鉢より少し下がるくらいのものを『半懸崖(はんけんがい)』と言います。
どちらも海沿いや山奥の断崖で生きる樹を表しています。
株立ち(かぶたち)
1つの根元からいくつも幹が伸びた形を多幹樹形(たかんじゅけい)又は株立ち(かぶだち)と呼びます。
幹の長さ、太さを組み合わせる事で林のような景色を描きます。
寄せ植え
同一の樹種を一鉢に複数本寄せて植える樹形を「寄せ植え(よせうえ」と呼びます。
いくつかの場合がありますが、基本的には主幹を中央に植え、周りに他の樹木を植えて全体のバランスを整えます。
自然に自生する樹木の群を印象付けるのが一般的です。
石付(いしつき)
自然でも多く見られる、石の間から樹木の伸びる樹形です。
樹木そのものの形は名称に影響はなく、様々な形があります。
根元のはっきり露出した樹形を「石付き(いしつき)」と言います。
文人木(ぶんじんぎ)
「直幹」と似ていますが、より高い位置にのみ枝葉の伸びた形を「文人木」と呼びます。
明治時代に文人たちに好まれたので名付けられました。
自然界においては直幹と真逆の環境、密林のような場所でこの樹形に育ちます。
「まとめ」品種にあった樹形を選択し、盆栽を楽しもう
基本的な樹形を紹介しました。
他にも多くあり、総称して「変わり木」などとも呼ばれます。
また樹形は品種に合うものがあるので、育てる際にどのような形にするか選択し、イメージしながら進めると円滑に育てることができます。
自然が作る雄大さと、人が作る芸術性を合わせ、より優れた盆栽に挑戦してみてはいかがでしょうか。