盆栽には定番の「松柏類」を始め、花を楽しむ「花物」や、葉の茂りを楽しむ「葉物」などがあり、さらに実をつける「実物」もあります。
今回は、ちょっと気になる「実物盆栽の実は食べられるの?」という疑問について調べてみました。
盆栽の実も普通の実
盆栽は、ほぼ全てが自生する樹木を盆栽用に切り取ったものです。
ですから桜や梅の盆栽は春頃に花をつけ、実物盆栽もそれぞれの時季に果実をつけます。
樹木につく果実と同じなので、食べることも当然可能です。
ただ盆栽の場合は樹木自体が小さいので、果実もその程度のサイズにしか実らず、しかも美味しいとまではいわれません。
それこそ家庭菜園で育つキュウリやトマトのように、食卓に出せるほど美味しく食べられる果実は、盆栽では実際難しいです。
一応食べられるけど、本来は「果実が実るのを見て楽しむもの」とは覚えておきましょう。
実のなる盆栽「実物」の種類
代表的な実物盆栽の種類を一覧でまとめました。どれも人気の品種です。
【姫林檎(ヒメリンゴ)】
…別名イヌリンゴ。赤い実のリンゴとは別物。酸味が強く、食用価値は低い。リンゴ飴の材料として使われる。秋から冬頃まで実が残る。
【花梨(カリン)】
…味は渋め。のど飴によく用いられるように、喉の炎症を治す効能がある。加熱すると食べやすい。実がつくのは秋から冬の初め頃。
【紫檀(シタン)】
…小さな葉の樹木で、赤い実をつける。色によって白紫檀・紅(ベニ)紫檀などの品種に分かれる。実がつくのは秋頃。美味しくはないので、食用としてあまり認知されない。
【南天(ナンテン)】
…実に毒があるので、大量に食べると危険。こちらものど飴に用いられる他、ぜんそくなどの薬にも使われる。味は苦い。実がつくのは秋の終わりから冬の半ばまで。
【柿(カキ)】
…樹木の場合は大きく甘い柿が育つが、盆栽に用いるのは豆柿(マメガキ)や老爺柿(ロウヤガキ)など。味は渋いが、熟したら甘くなるらしい。実がつくのは夏から秋頃まで。
【梅擬(ウメモドキ)】
…枝葉が梅に似ていることから名付いた樹木。赤い小さな実をたくさんつけ、熟すと実が割れて種が飛び出す。秋頃から冬の半ばまで実が残る。
実りの秋というだけあり、盆栽の果実も秋頃から冬にかけてつくものが多いですね。
ちなみに、盆栽の実は必ず野鳥や虫がやってきて食べてしまう(驚くほど早く食べられちゃう)ので、果実がつく時期にネットをかぶせるか屋内へ置くのが常識です。
季節を味わえる実物盆栽を育ててみよう!
今回は、ちょっと気になる「盆栽の実は食べられるのか」という疑問にお答えしました。
実物盆栽として扱う品種は、どれも秋から冬頃に果実をつけますが、基本的には野鳥の餌になってしまうのがほとんどです。
人が食べても美味しくはないものも多い上、中には南天のように毒のある実も存在するので、知識なくむやみに口にするのは危険でしょう。
「観賞用が第一」「熟したものを甘く調理すれば食べられるものもある」と覚えておくのが良いでしょうね。