藤盆栽の魅力

藤は、雅な花の風情や香り、花の後の緑も楽しめる事から、人気があります。
ですが、「盆栽で藤を楽しむ方法は……?」とお悩みの方もいらっしゃることでしょう。
今回は、盆栽で藤を育ててみたいかたの為に、藤の特徴や育て方、管理方法など、主に初心者様に向けてご紹介いたしましょう。

 

藤の特徴について

マメ科フジ属のつる性落葉木本であり、鑑賞用として楽しまれるようになったのは江戸時代からで、園芸品種も作られるようになりました。
樹齢100年~400年を超える藤の名所が各地にあります。
藤は温暖な地域の日当たりのいい肥沃な湿地に自生が多く、長く伸びる地上部と同じく根も相当に長く地中を這う性質があります。
その根は空気を多く含む構造を持っていて、多湿地でも根腐れすることがないため、盆栽では腰水管理で夏の水切れ対策が取られます。
簡単に申し上げて、『太陽を好み』『水が大好き』で『暑さや寒さにも比較的強い』のが特徴です。
冬場に水切れを起こすと花が咲かなくなりますので注意しましょう。

 

藤の基本的な育て方

日当たりの良い場所に置きます。つぼみを膨らませる開花間近の3月は、霜にあたるとつぼみを落としてしまいますので、気候には注意します。
冬の休眠期は太陽を必要としないので軒下や暖房の当たらない室内でも管理出来ます。
植え替えや剪定は2月から3月までに行います。
寒い間は成長が止まっていますので、藤にダメージをほとんど与えずに済むからです。
藤の樹形を整える意味での、本来の剪定は冬の間に行います。
好みの樹形を目指して、不必要な伸びすぎた枝をカットしましょう。

 

初夏に育てる場合について

花を咲かせ、そして花が終わる初夏には、「花がら摘み」「芽摘み」を行います。
花がら摘みは、終わった花をつけたままにしておくと、実ができ、体力がそちらに奪われてしまうので、すぐに行いましょう。
花を一つひとつ取るのではなく、花房の根元すぐの部分、葉を3~5枚残す位置で園芸バサミを使い切り落とします。
また、花が終わった5月から6月に「芽摘み」をします。
芽摘みは、花の付かないつるを園芸バサミを使いカットするだけで完了です。
この時のコツは、『できるだけ早いタイミングで』という事が言えるでしょう。

 

藤盆栽の日々の管理について

シーズンごとの管理ももちろん大切ですが、日々の管理も同じく大切です。

・春の藤への水やりは、1日に1回が目安です。
年間を通して日の当たる場所に置きましょう。

・病害虫の対策
うどんこ病やアブラムシが発生しやすいので定期的に殺菌殺虫剤を散布します。

・夏場の水やりは1日に2回が目安。
エアコンの室外機の排気が当たらない半日陰に置きましょう。

・秋の水やりは2日に1度が目安。
置き場所は、春同様、再度直射日光が当たる場所に戻しますが、いきなり1日中ではなく、1日数時間から始めます。

・冬の水やりは3日に1度が目安。
置き場所は直射日光が当たる場所がよいでしょう。
屋外での凍結や寒風から藤を守るため、『ムロ入れ』という作業を行うかたもいらっしゃいますが、慣れていらっしゃらないかたは室内に取り込み、殺菌殺虫剤を使用しましょう。

 

藤は桜と同様、日本の春に欠かせない花を咲かせる樹種です。
『藤を盆栽で楽しめる』のは、とても楽しい事でしょう。
夏と冬の管理さえしっかりできれば、毎年藤の花を堪能することができる藤盆栽。
ぜひ挑戦してみてください。

盆栽なび編集部

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