今さらですが、盆栽とは樹を人の力で様々な形にアレンジすることです。
どんな風にするかは人それぞれです。
今回は、そのアレンジのバリエーションを広げるために「小枝を増やす方法」についてご紹介しましょう。
剪定(せんてい)
剪定とは盆栽の樹形(じゅけい)を整えるための「整姿(せいし)」のひとつです。
厳密には植物の生命を絶つことなく幹や枝、根などを切ることを示しますね。
植物は日々の条件で各枝に強弱が生まれ、上部または枝の少ない外側の部分へと枝葉を伸ばして成長する性質があります。
この自然のメカニズムは、樹が自身の枝葉が作る影によって他の枝の成長を妨げてしまうことを防ぎ、高く大きな樹へと成長するためのものです。
それにより、上部の強い枝はさらに強く伸び、日の当たらない部分の弱い枝は枯れていきます。
この樹木の基本的な性質に対する手段としても、剪定が大変重要であるということがよくわかりますよね。
剪定で強く伸びる枝の力を抑え、その力を弱い枝に回し、全体の力のバランスを均一にしてあげる必要があります。
盆栽においての剪定は不要枝を切るだけでなく、植物の生育を調整し、樹の寿命を長く保つための技術で、剪定によって樹形を整え、古木の風格を出し、より観賞価値を高めることも可能でしょう。
剪定の方法
・幹の同じ高さに二本の枝が伸びた場合は、そのうち一本を残し、一本をカットします
・幹から垂直に伸びる太い枝は除きます
・不自然な曲がりやねじれがある枝は除きます
・幹の前面を隠してしまう場所にある枝は除きます(樹幹を形成する部分は残します)
・木の下部との釣り合いが取れない上部の太い枝を除きます
芽摘みも広義では剪定の技法の1つですが、根本的な目的が少し異なります。
芽摘みというのは伸びる新梢の芯を必要な長さを残して摘み取る作業で、野菜作りにおけるピンチ(摘芯)がそれに当たります。
春から伸びる新梢を必要な長さで摘みとることで、二番芽の勢いを弱めて全体を小さく作ったり、小枝を増やしたりと様々な効果を持ちます。
特に短葉で締まった枝作りが大事な松柏類(しょうはくるい)では、芽摘みが欠かせない作業となりますね。
どちらも枝を切るという意味では同じ作業ですが、芽摘みは「抑制」の意味合いが強く、樹高を抑えて全体をコンパクトにするために欠かせない作業と言えましょう。
対して剪定は整姿の意味合いが強く、芽摘みで増えた枝を整理して盆栽としての形を整えるために行います。
芽摘みの注意点
若木は樹勢(じゅせい)が強く成長も早いので、枝を切り詰められてもすぐに次の枝を出そうと活動を始めます。
反対に、完成木や古木の生育力自体は比較的弱いですから、若木と同じようなペースで芽摘みをしてしまうと樹勢を衰えさせる原因になるでしょう。
枝が欲しいところはやや伸ばしてから摘むなど、樹勢や生育段階に応じた芽摘みができれば大丈夫ですね。
ということで、「盆栽の小枝を増やす」ためにすべきことを、ざっくりとではありますがご紹介しました。
皆さまの鉢が豊かになりますように。