『難しそう』だったり『リタイヤ後の趣味』という印象をもたれる盆栽ですが、最近では飲食店や雑貨屋さん、インテリアショップなどでも小さな盆栽を見かけるようになりました。
盆栽はいまや世界共通語の『BONSAI』として、いろいろな国の人達が芸術的かつスタイリッシュに盆栽を楽しんでいます。
日本の文化や衣食住をはじめとする日本人のライフスタイルは、世界中で評価され関心を集めているのはご存じの通り。
今回は盆栽の海外での需要や輸出についてご紹介いたします。
海外の盆栽人気
2017年の花き(かき)の輸出額は135億円で、初めて100億円を突破しました。
輸出額の大部分が植木・盆栽・鉢もので、126億円となっております。
盆栽はスペインやイタリアなどのEU諸国を始め、アジアや中東では日本の盆栽や古鉢のコレクターも多く、今や富裕層のステータスとなっています。
盆栽を求める外国人は、コロナ禍を機に一段と増えているそうです。
感染拡大で自宅にいる時間が増えたため、人々が盆栽に癒やしを求めているというのです。
線虫対策
一例としまして、千葉県は全国有数の植木産地であり、その高い技術から海外で人気が高まっています。
ところが輸出量の増加とともに、検疫において根や土から線虫が検出されることにより輸出がストップする事態も増加するようになりました。
調査の結果、輸出で最も問題となるのはオオハリセンチュウであることが突き止められました。
植物の根に寄生する、細長い糸状の土壌動物で体長0.5~1.5mm。
多くの薬剤からオオハリセンチュウに効果のある薬剤を選抜し、効果的な濃度や処理方法、処理時期を明らかにしました。
輸出前に退治する手法が開発され、今後拡大が期待されるEU向けに輸送した場合を想定した実証試験を行っております。
『BONSAI』 欧州へ
更に一方で、香川県高松市は松盆栽の国内最大の生産地です。
そんな高松特産の黒松盆栽が、欧州に輸出できるようになりました。
バイヤーが今、高松に注目するのは黒松のEU向け輸出が今年から本格化するからです。
これまでは防疫の観点からEU圏には輸出できませんでしたが、県などの働きかけにより2020年10月に解禁されました。
植物防疫所に登録した上で、2年間の管理、検査で問題がなければ輸出が可能となりました。
オランダから20ヵ国以上に販売先を持つ『ロダー ボンサイ』の経営者曰く。
『欧州では、日本好きの人や植物が好きな人など男女問わず様々な人が趣味で楽しむ。これまで黒松は雑誌で見るだけだったが、ファンは喜ぶだろう』と期待を口にしています。
県もPRに力を入れています。
昨年6月、オランダで開催された国際園芸博覧会「フロリアード2022」に、盆栽が初出展されました。
日本の会場には1日約2千人が来場し、職人による剪定(せんてい)の実演には人だかりも出来た様子です。
県は『スシと同様、ボンサイという言葉も現地で知られているようで、潜在的需要を感じている』と期待を寄せています。
海外での盆栽の知名度や需要は盤石(ばんじゃく)と言っても良いでしょう。
コロナ禍や円安と言ったネガティブな要素も、今後追い風に変わる可能性はあり得ます。
盆栽に対して未だに古いイメージを持っているのは、日本人のほうなのかもしれませんね。