盆栽鉢「舟山」について

盆栽鉢は1年中規模は大小あれど展示会が催されています。
季節にふさわしい盆栽鉢、歴史のある盆栽鉢などさまざまな盆栽鉢を見ることができますが、その中でも「舟山」は特に有名です。
今回は、盆栽鉢「舟山」についてお伝えしましょう。

Image Credit:https://rakuten.co.jp/

 

「舟山」とは作家名

「舟山」と聞くとなんとなく、盆栽鉢の作品名かな?と思いますが、実際は鉢作家の名前です。
読み方は「しゅうざん」で、本名は鈴木春司という三重県の作家でした。
もともと、父親が窯業薬品の科学者だったことが陶芸に触れるきっかけとなり、自身で実際に植栽し盆栽を熟知した上で鉢づくりを行っていたというのはよく知られています。
一般的に鉢作家というのは、画家と同じように活動している時はなかなか評価に恵まれず、没後しばらくしてから評価されることが多数派の中、舟山の場合は活動中から高い評価を得ていた珍しい作家といえます。
さらに、没後も年月を経て人気が上昇し、展示会に飾られる盆栽鉢の定番になっているのです。

 

盆栽鉢「舟山」の特徴

舟山の作品の大きな特徴は、中国清朝末期に日本向けの盆栽鉢として完成された”中渡り・泥もの”を徹底しているということでしょう。
支那鉢の伝統にならって、美しくシンプルな仕上がりになっています。
一発仕上げが舟山の特徴であり、スピード感あふれる仕上げでも、逆に手作業の痕跡がアクセントとなり、全体的に締まりを引き出しているのです。
シンプルな盆栽鉢は、凡庸な印象がありますが舟山の場合は別格といえます。
これは熟練した技術を持っている舟山だからこそ表現できる手練の技がシンプルな美しさを印象付けているため、活動中から高い評価を得ているといえるのです。
だからこそ、日本の有名鉢作家で舟山の名が挙がるのでしょう。

 

「舟山」の盆栽鉢は実用性も優れている

舟山は、実際に自分で盆栽を育て、どのような盆栽鉢であればこの木は美しくなるのかについて研究を重ねています。
この点が、舟山の盆栽鉢は全体的に美しく仕上がるといわれる所以です。
盆栽鉢を作るためだけではなくて、本当に舟山自身も熱心に盆栽を愛していた人物だったため、奥行きのある長方鉢は機能性と美しさそれぞれを尊重した作り方をしていることも特徴だといえます。
小さな盆栽鉢から「こんなに大きな口径があるの!?」と思うくらいまで超大型の盆栽鉢まで、多種多様な盆栽鉢を作り上げたのも、ひとえに舟山の盆栽愛のたまものといえるでしょう。
舟山の盆栽鉢は、間口と奥行き、深さのバランスが程よく使いやすいことでも有名。
シンプルでありながら盆栽の美しさを際立たせてくれる鉢のフォルムは、類を見ないため展示会に出展されていると大人気になるのも納得できます。

 

「舟山」は温もりのある盆栽鉢

舟山の盆栽鉢は一気に仕上げることによって、手作りの温もりと美しさを引き出すことに成功しています。
自身の盆栽愛好家としての視点が、作品づくりに大きな影響を与えていたこともあり、鉢作家としては珍しく活動中から評価を得ていました。
没後何十年も経った今ですら、舟山の作品は多くの人の心を魅了しているのです。
展示会に足を運ぶことがあれば、鉢作家に注目してみて下さい。

 

Image Credit:https://peterteabonsai.wordpress.com/

関連記事

  1. READ MORE

    初心者にもおすすめ!姫リンゴ盆栽の魅力とは

  2. READ MORE

    あの人もハマっていた!「盆栽愛好家」の著名人8人!まとめてご紹介!

  3. READ MORE

    盆栽の乾燥対策は必要?

  4. READ MORE

    盆栽の値付け・格付けされる際のポイントとは「樹齢?樹形?手間費用?」

ページ上部へ戻る
error: Content is protected !!