盆栽の語源と定義

盆栽とは、現代では一般的に、松や梅、ツツジ、紅葉、真柏などの草木を鉢に栽植し、樹姿や配置を整え、山水樹石の様子を創造するものとなります。

姿や形が複雑で味わい深いことが魅力です。
しかし、広義には鉢植えという意味もあり、現在のような意味を持つまでには長い歴史がありました。

今回は盆栽の語源と定義について歴史的な流れと合わせてご紹介します。

盆栽起源

盆栽の起源は中国の唐代に庭園の小型化に伴い、小型で整姿した庭園小松の流行が始まりとされています。
その後、宋代に古老松を鑑賞する盤松や松の盆栽である「盆松」が登場します。
明代に天目山産の松を用いた「天目松盆栽」が隆盛し、松の種類が増加して技術が発展しました。

そして、清代には鉢中で自然の景観を表現する「風景式松類盆栽」が流行しました。
今日の盆栽はこのような発展を遂げた盆栽が日本で広まったものです。
盆栽の語源については諸説がありますが、古くは明代の「姑蘇記」に盆景という記載が盆栽の語源とされています。

日本で盆栽(ぼんさい)という名称が浸透したのは明治20年代であり、幕末から明治に流行した煎茶会や漢語ブームにより、高級品として鉢植えや植え木と差別化する目的で盆栽という名称が用いられ定着しました。

しかし、明治や大正時代は「盆栽イコール鉢植え」として理解されており、両者は区別されていませんでした。
一般的に盆栽が鉢植えや植木と別ものであると認知されるようになったのは、昭和9年頃であり、この頃の辞書からは盆栽に広義(はちうえ)と狭義(ぼんさい)の意味がある事が明記されています。

その後、昭和48年頃に盆栽に現在の狭義の意味が残り、広義の記載が減少し続け、現在では記載されなくなりましたが、鉢植えには盆栽の意味が残っており、鉢植えは盆栽と明確に区別はされていません。
つまり、鉢植えの延長に盆栽があり、盆栽はより狭義の意味となっています。

盆栽には長い歴史があり、その過程で盆栽の定義も徐々に変化してきました。
盆栽には様々な形や樹種、表現や専門用語があり奥深い世界です。
まずは鉢植えの木の形を整えることから盆栽の世界に踏み出してみてはいかがでしょうか?

盆栽の歴史にもう少し詳しくなりたい方は、下のこの記事の文献にも目を通してみてくださいね。

(参考文献)
丸島秀夫(1996)中国盆景と日本盆栽の呼称の歴史的研究.

李 樹華(1999)中国松類(Pinuss spp.)盆栽史考.

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